月10万円生活の内訳の記事でも書いたのですが、私は会社を辞めたあと、しばらく低収入な状態が続きました。
今回は、そんな低収入の個人事業主(非会社員)にかかってくる税金について、会社を辞めてからの時系列で書いてみたいと思います。
- 会社員辞めたいけど税金怖すぎる…
- 稼げない場合に備えて貯金はいくら必要?
- 一人暮らし(賃貸)はやっぱり無理かな…
こんな感じで気になっている方(かつての私)には、多少の参考になるかもしれません。

「賃貸に住む人」
・30代一人暮らし
・不動産ライター
・元ハウスメーカー社員
…です。
会社員時代の転勤がきっかけでミニマリストになり、生活費が月10万円以下に。
低収入でも生きていけると思えたことから会社を辞め、現在は住宅・不動産関連のライター業で生計を立てつつ小さく暮らす日々。
「マイホームより一生賃貸」派。INFJ。
会社員を辞めて1年目に支払ったお金


私が会社を辞めたのは3月末。その後の4〜12月(非会社員1年目)に支払ったのは、次の3つです。
順番に見ていきましょう。
1.国民年金保険料【4月】
会社を辞めると、厚生年金から国民年金に切り替わります。
そのため、保険料が給料天引きから納付書(または口座振替・クレカなど)での納付に変わり、
月 約17,000円→年間 約20万円
を支払いました。
国民年金には納付猶予制度があり、稼げるようになってから「追納」する、というのも選択肢のひとつです。
※「免除」も可能ですが、将来の年金受給額も減るので慎重に判断したほうがいいかと。
参考:
日本年金機構|会社を退職したときの国民年金の手続き
日本年金機構|国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構|国民年金保険料の前納
2.国民健康保険料【6月】
続いて、6月に国民健康保険料の納付書が届きました。
具体的な額を書くと前職の年収がある程度わかってしまうので伏せさせていただきます。
(参考)無料シミュレーションサイト↓
実際のところ、会社と折半だった保険料が全額自己負担になるので「高っ…!」と感じました…



年収300万円〜400万円でざっと年間30万円ぐらいでしょうか。
前年に比べて著しく所得が減ると「減免」してもらえる可能性があります。
「〇〇市 国民健康保険 減免」と検索し、手続きや条件を確認してみるといいかと。
また、会社の保険を「任意継続」したほうが安いケースもあるので、退職前にチェックです。
参考:国民健康保険料計算機
3.住民税【6月】
また、国民健康保険料と同じ時期に、住民税の納税通知書も届きました。
こちらも年収に応じて税額が決まるので具体的な金額は伏せさせていただきます。
ご自身の税額は、前年に会社からもらった
「住民税決定通知書」
を見てもらうと、だいたいの金額がわかるかと。
こちらも、給料から月割で天引きだったところがまとめて請求されるので、なかなかの衝撃でした。



年収300万円〜400万円で年間11〜18万円ぐらいでしょうか。
住民税は自己都合退職だと正直減免は難しい…と思います。
在職中の余裕があるときにiDeCo・ふるさと納税などの節税対策をしておくとか…
1年目をどう乗り越えたか


さて、こうした支払いに対し、どのように資金を用意して生活していったのかを見ていきましょう。
【4月〜6月】退職金+生活防衛費で生活
自己都合退職の場合、失業手当の支給が開始されるのは、
ハローワークに申請した日から
「待機期間7日間+給付制限1ヵ月*」後
※2025年4月から給付制限期間が「2ヵ月→1ヵ月」に短縮
です。



4月に入ってすぐ手続きしたとして、5月末〜6月に支給されるイメージでしょうか。
ですが、申請に必要な離職票や雇用保険被保険者証が会社から届くまでに1ヵ月以上かかること、あるあるみたいです(GW明けになったり…)。
つまり、すぐ転職が決まったり事業を始めたりしない限り、だいたい6〜7月ごろまでは手元にあるお金で生きていかなければいけないと。
私は事前にこれを調べて知っていたので、
退職金は税金や保険料で全部消える
つもりにして、さらに不足分+3ヵ月分の生活費を貯金で準備していました。



会社の「退職金規定」を見れば、ご自身の退職金がおおよそどのくらいになるか予想できるかと思います。
実際、失業手当が支給されたのは7月に入ってからのことでした。
参考:
ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き
厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
【7月〜9月】失業手当+生活防衛費で生活
失業認定がおりて待機・給付制限期間が過ぎ、失業手当の支給が始まりました。
給付額は前職の給料によって変わるので、以下、無料シミュレーションでご確認ください↓



数ヵ月待って、数十万円単位の税金も支払ったからか、ありがたいはずなのに湧いてきたのは「…心許ない…」
また、この時期ちょっと体調も崩したので通院代が発生し…貯金で補いつつ生活してました。
心身の安定のためには、この期間についても生活の足しにする分の貯金をしておいたほうがいいかと思われます。
【10月〜12月】事業収入+生活防衛費で生活
勤続年数10年未満なら最大で約3ヵ月、10年以上なら約4ヵ月で失業手当の給付が終了します。
この間に新しい仕事を見つけるなり、事業で稼ぐなり、自分で食べていけるようにならなければいけないわけですね。
私の場合、いろいろな業種の説明会を聞いたり契約社員としてのライターなども検討したりしましたが、最終的に個人事業主として開業することに。



もちろんすぐ稼げるはずもなく…この期間も会社員時代に貯めた資産を頼りに生活していました。
参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数
- 税金・保険料の支払い用資金
(退職金で足りない分) - 4〜6月分の生活費
(全額) - 7〜9月分の生活費
(失業手当で足りない分) - 10月〜12月分の生活費
(事業売上で足りない分)
会社を辞めて2年目に支払ったお金


こうして、会社を辞めて2年目に突入。
以降は、個人事業主として次のような税金・保険料がかかることに。
ですが、見ていただいたように1年目(前年)の収入はほぼゼロ。※失業手当は非課税所得です。
なので、2年目はいわゆる「非課税世帯」のモデルケースになりました…。
それぞれ、非課税・軽減措置の条件などを整理してみたので、見ていきましょう。
1.所得税:0円【2〜3月】
所得税:月額0円
個人事業主は毎年2~3月に確定申告を行い、その期間内に所得税を納付しなければいけません。



私の場合、余裕で非課税枠内におさまりました…。
基礎控除48万円+青色申告特別控除65万円
=113万円以内
なお、この「所得」は、収入から事業経費(コワーキングスペース利用料、確定申告用の会計ソフト代など)を除いた金額で計算します。
また、次のようなものが所得から控除可能です。
- 国民年金保険料
- 国民健康保険料
- iDeCo
- 生命保険料…など
参考:
国税庁|基礎控除
国税庁|青色申告特別控除
所得税・住民税簡易計算機
2.国民年金保険料:17,000円/月【4月】
国民年金保険料:月額約17,000円
国民年金保険料は所得と関係なく定額※です。1年目と同じく年間約20万円、月額にして約17,000円を支払いました。
※保険料そのものが毎年変わる可能性はあります。ここ数年でめっちゃ上がった…



私は割安になるよう年間の保険料をまとめて前納しています。
3.国民健康保険料:3,000円/月【6月】
国民健康保険料:月額約3,000円
国民健康保険料については、2〜3月の確定申告の所得を見て自治体が保険料を算出してくれます。
6月ごろに納付書が送られてきたので、PayPayで支払いました。



私の場合、前年の所得が少なすぎて自己負担の「7割軽減」措置が適用されていました…。
43万円※+青色申告特別控除65万円
=108万円以内
※自治体により金額が異なる場合があります。
なお、国民健康保険料の基準になる所得からは、国民年金保険料やiDeCoなどを控除できません。



純粋に、事業の利益(売上ー経費)を所得とするわけです。
参考:国民健康保険料計算機
4.住民税:0円【6月】
住民税:月額0円
また、住民税も確定申告の所得を見て自治体が税額を算出。6月ごろに納付書が送られてくるはずですが…



非課税枠内におさまり、納付書そのものが送られてきませんでした…。
45万円+青色申告特別控除65万円
=110万円以内
住民税の基準となる「所得」には、所得税と同じく国民年金保険料やiDeCoなどの控除が適用されます。
参考:
所得税・住民税簡易計算機
国税庁|住民税(所得割)非課税
- 国民健康保険料:月17,000円
- 国民健康保険料:月3,000円
- 一般的な生活費
…そして、今。



不動産ライターとして、なんとか生計を立てられるくらいにはなったようです。
低収入個人事業主(非課税世帯)の生活費シミュレーション


さて、私の非会社員1年目は失業手当をもらいながら「ほぼ無職」で過ごしており、特殊なケースでした。
ここからは仮に「個人事業主として稼げず低収入が続いた」として、どんな生活になるかちょっと考えてみましょう(恐怖)。
一人暮らし(賃貸)の場合
先ほどの「非課税世帯」の所得条件で一番厳しいのは、国民健康保険料の「108万円」。
各種税金や保険料の負担が最も軽くなるひとつのラインといえます。
月額にして9万円であり、その場合の税金や保険料は次のとおり。
- 国民年金保険料:約17,000円/月
- 国民健康保険料:約3,000円/月
- 所得税:0円
- 住民税:0円
→合計:2万円/月
つまり、「9-2=手取り7万円」の世界ですね。
これを基準に、赤字にならないよう月7万円以内で生活することを考えてみましょう。
内訳は次のようなイメージに。
内訳 | 1ヵ月あたり の金額 |
---|---|
住居費 | 33,000円 |
水道光熱費 | 4,000円 |
通信費 | 3,000円 |
変動費(食費・日用品等) | 30,000円 |
合計 | 70,000円 |
…会社を辞めて2年目の私の生活費そのままです↓



ざっくり言ってしまえば、年収100万円ほどになるなら、このくらいの生活水準を覚悟すべき、と…
実家暮らしの場合
先ほどは賃貸で一人暮らしをした場合のシミュレーションです。
同じ月収9万円・手取り7万円だとしても、家賃がかからない「実家」ならどうでしょうか。
例えば、こんな感じの内訳が考えられるかと。
内訳 | 1ヵ月あたり の金額 |
---|---|
→家に入れるお金 | 住居費・水道光熱費20,000〜30,000円 |
通信費 | 300〜1,000円 |
(食費・日用品等) | 変動費20,000円 |
合計 | 40,300〜51,000円 |
- 【通信費】
→家の固定回線・Wi-Fiを主に使う
→月額300円程度の格安simで十分に - 【変動費】
→実家のごはん(強)
→日用品も家族で共用できて割安に
→サブスクも家族で1アカウント
→各種「家族割」が適用できる
また、親の扶養に入れば国民健康保険料も0円になるでしょう。
家族関係によっては「家にお金入れなくていいよ」ってなるかもしれないので、一人暮らしよりは金銭的にかなりラクかと思われます。



個人事業主として軌道になるまで、一時的にお世話になるっていうのもアリかもしれませんね。
ただ、長引くほど精神的につらくなる可能性も考えておいたほうがいいかと…
- ご近所の視線
- 養われていることへの後ろめたさ・焦り
- 息抜きしづらい
- 生活リズムの違い
- 付き合いの出費が増えがち…など
ちなみに、私は家族関係が破綻していて、そもそも「実家暮らし」という選択肢がありませんでした(暗い話ですみません…)。



逆に逃げ場がないからこそ、なんとか個人事業主として続いているところがあるかもしれないです。
ちょっと待って…会社員を辞めて個人事業主になる前に


ここまで読んでくださった方のなかには、
「ある程度貯金して生活費も下げれば、1〜2年低収入でも生きていけるかも。月10万円くらいなら稼げそうだし、会社辞めようかな…」
という考えに至った方もいらっしゃるでしょうか。
最後に、私のような流れで会社を辞めて個人事業主になるリスクについてお伝えしておきます。
ここまで書いておいてなんですが、正直おすすめはできないので…
「やっぱり会社員に戻ろう」は難しい
ここまでの流れを見ていただくとわかるように、私はほぼ収入ゼロ、無職の期間が1年近く続きました。
空白期間があると、一般的な企業への転職が格段に難しくなることはご存知の方も多いはず。
その間に歳もとりましたし、「やっぱやーめた」がほぼできない一方通行の選択だったんですね。
なので、もう会社員には戻らない!くらいの覚悟ができるか慎重に考えたほうがいいかと…
「会社員」の社会的信用度はすごい
「会社員」であるというだけで許されることって結構あります。
それも、周りの人の目っていう抽象的な話ではなく、生活にダイレクトに響いてくる金銭的な面で。
- 賃貸の入居審査
- クレジットカード作成
- 各種ローン審査…など
なので、会社を辞めるか決める前にライフプランはめちゃめちゃ考え抜くことをおすすめします。
たいていの人は「…やっぱ辞めるほうがしんどいな」ってなるんじゃないかと。
人間関係・仕事の悩みはゼロにはならない
多分、会社辞めたい方の理由の多くは「人間関係がしんどい」「仕事つらい」なのではないでしょうか。
実際、個人事業主になってみて思うのは、
お金を得る流れで人との接触は避けられない
ということです。
むしろ、個人事業主は会社員より「雑に扱ってもいい存在」に見られやすく、理不尽な目に遭うことが多い気がします。私の要領が悪すぎるだけかもですが。
報酬の未払いなんかにも基本は一人で立ち向かうことになりますし、「〇〇会社」という後ろ盾がないことがこんなに怖いのか…と。
今頭に浮かんでいるイヤな上司・同僚みたいな人とは出会いやすく、
相談に乗ってくれたりごはんを一緒に食べてくれたりしているような人とは新しくつながりにくくなる…
さらには、実質的な作業量と報酬を考えると最低賃金をはるかに下回っていることに気づき呆然とする…(実話)
そんな状況もちょっと想像してみてほしいです。
会社員のまま資金を短期間で貯めるほうがラクかも
個人事業主になって会社員時代よりも稼げている人って、ホントすごいなっ…!と思うのです。
SNS・ネット上の様子や周囲の様子を見ても、なかなか収入が上がらずもがいている方が多数派のようでして…
低収入だとやっぱり資産も増やしにくいわけで、苦しい時間がむしろ長引いてしまいがちです。
なので、私個人としては
会社員としてガッと稼いで短期間で資産を貯めてFIREする
が一番リスクが小さくていいんじゃないかと…
将来的に個人事業主になるとしても、私みたいに無職・無収入期間ができるよりは、会社員時代から副業で基盤を築いておいたほうがはるかにいいと思いますし。



正直、私の場合は会社員を「辞めた」というより「続けられなかった」んですね。
長く続けられないだろうな、とは思っていたので生活費を下げて貯蓄ペースを早めていたのですが、予定よりもかなり早く心身の限界が来てしまって。
なので、今「辞めたい」と思いながらも続けられている人、社会に順応・適応できている人、それホントに偉大なことです。
今まさに心身がSOSを上げていたら迷わず逃げてほしいのですが、逃げた先でも追い込まれないように、できれば自分を守る準備(資産形成・事業の準備など)をしてみてくださいね。
まとめ
以上、私が会社員を辞めてから無職・低収入個人事業主時代を送っていたころのお話(税金・保険料中心)でした。
あまり明るい話ではなくすみません…最後まで読んでいただきありがとうございました。
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