賃貸の物件探しをするなかで、「1階はやめとけ」という言葉を聞いた方も多いのではないでしょうか。
私が初めて住んだ賃貸物件も1階でしたが、気になる点があったのは事実です…
そこで今回は、実際に賃貸の1階に住んだ経験から、「やめとけ」といわれる理由を深掘りしてみたいと思います。
1階の物件に住むことが決まっている方におすすめしたい入居前の準備も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「賃貸に住む人」
住宅・不動産ライター。
大学院まで建築学を専攻し、ハウスメーカーでの勤務経験を経てWebライターとして独立。
私生活では合計8回の単身引越しを経験。5つの賃貸物件に住んだ実体験と建築業界で得た知見から、物件探しや賃貸暮らしのコツを発信しています。
「やめとけ」といわれた賃貸1階に実際住んだ感想
実際に、「やめとけ」といわれやすい1階の賃貸物件に住んだときの様子をお伝えします。
ネガティブな内容も含まれるので、特定を避けるために実際の写真は掲載できないことをご了承ください…笑
実際に住んだ賃貸物件の情報
私が住んだ賃貸物件の概要は以下のとおりです。
場所 | 東京都(23区外) |
家賃 | 約69,000円 |
間取り | 1R約7畳 |
方角 | 東向き |
設備 | バス・トイレ別、IHコンロ |
最寄り駅アクセス | 徒歩5分以内 |
部屋を探す際には、不動産会社に以下の条件を伝えていました。
- 家賃は高くて7万円台まで
- 北向きは避けたい
- バス・トイレ別がいい
- 駅チカがいい(都会の通勤ラッシュ怖い…)
確かに条件を満たしていますよね。このときは「1階を避けたい」とは伝えていませんでした。
転勤の多い企業に入社したため、おそらく短期間になるだろうな…と、そこまで深く考えずに選んだ物件です。
実際の住み心地
結論、同じ物件にはもう住みたくないですね笑
特にストレスになったのは、以下3点です。
- 洗濯物を外に干せない
- 湿気がすごくて敷き布団がカビた
- アリが室内に侵入してきた
この賃貸物件は人通りの多い道路に面していて、丸見えになるので外に洗濯物を干せませんでした。
内見時の説明では「浴室乾燥機があるので大丈夫ですよ」といわれたのですが、設備が古くてあまり乾かず…
さらに湿気がこもりやすく、こまめに換気していても常に部屋全体がジメジメ。布団を干せる場所もなく、最終的にカビて捨ててしまいました…
そして、極めつけはアリが室内に侵入してきたこと。
アリは一度侵入すると道を作ってしまうので、次々仲間が来てしまうんですね。
侵入経路を念入りに掃除したり、殺虫剤を使ってみたりと戦い続けましたがなかなか解決しませんでした。
幸い約半年ほどで転勤が決まり、引っ越すことに。
次は1階以外で探そうと心に決めました笑
賃貸の1階はやめとけといわれる5つの理由
一般的に、賃貸の部屋探しで「1階はやめとけ」といわれる理由は以下5つです。
実際に住んでみてどうだったのか、私の見解も加えつつそれぞれ詳しく紹介しますね。
防犯面で不安を感じやすいから
賃貸の1階は外からアクセスしやすく、また窓から室内の様子がわかりやすいという特徴があります。
そのため空き巣や不審者に狙われることを心配して「やめとけ」という方が多いです。
ですが、実際住んでみると、危険かどうかは「物件による」といった印象です。
私が住んだ物件は人通りの多い道路に面していて、何かあればすぐ誰かが気づく環境だったので、防犯面の不安を感じたことはありませんでした。
個人的には、狭くて暗い路地裏にあるような物件のほうが不安を感じます…
警視庁の空き巣被害に関する発表資料を見ても、「1階の被害が多い」と明確に示すデータはありません。
また、賃貸よりも一戸建て住宅のほうが被害件数が多く、半数以上がカギを閉め忘れた窓やドアから侵入されています。
空き巣犯は、「簡単に侵入できて・誰にも見られず・すぐ逃げられる」家をターゲットにする傾向があることがわかりますね。
- 外から室内の様子が分かりにくい
- オートロック付きなどで侵入が難しい
- 大家さんがいたり人通りが多い立地だったりと、周囲の目が届く環境になっている
このような物件であれば、個人的には1階であっても特別避けなくても大丈夫だと思います。
もちろん、1階に住むなら防犯対策は必須です。のちほど「賃貸の1階に住むならやっておきたい対策」の章で詳しく紹介します。
湿気がたまりカビに悩まされやすいから
湿気には本当に悩まされました…
賃貸の1階が特に湿気に悩まされるのは、以下の特徴があるためです。
- 地面に近く、外部や床下の湿気が流入しやすい
- 人目が気になって窓を開けにくく、換気が不十分になりやすい
- 周囲の建物に遮られるため、風通しが悪い物件が多い
- 室内干しをするとさらに湿度が高くなる
湿気の多い場所はカビも生えやすく、放置すると臭いのもとにもなります。
掃除や換気をこまめにできそうにない方は、1階の物件はやめたほうがいいでしょう。
日当たりが悪い物件が多いから
1階の物件は周囲の建物や植栽などに日光を遮られてしまうため、日当たりが悪いことが多いです。
- 洗濯物が乾きにくい
- 冬の寒さが厳しく、暖房代が高くなる
- 精神的に病んでくる…
個人的にはかなり大きなデメリットだと思うので、日当たりの悪い1階の部屋に住もうとする人がいれば、迷わず「やめとけ」といいます笑
幸い私が住んだ物件は大きな通りに面しており、比較的日当たりは良かったです。
ですが、外から見られる心配があるためほとんどカーテンは閉めっぱなしでした…
のちにカーテンを思い切り開けられる物件に住んだときに、「1階って不便だったんだ…」と実感しました笑
騒音に悩まされやすいから
賃貸の1階に住むということは、2階に誰かが住む可能性があるということです。
歩き回る音や家具を引きずる音など、上の階の住人の生活音に悩まされた経験のある方からの「1階はやめとけ」という声がよく聞かれます。
ただ、私が住んだ物件は鉄筋コンクリート造のしっかりした構造だったので、生活音はそれほど気になりませんでした。
これが木造だったら、かなり響いてしまうでしょうね…
音に敏感な方は、1階を避けるというより「建物の構造」にこだわることをおすすめします。
虫が侵入しやすいから
1階の賃貸物件は、2階以上の物件に比べて虫に悩まされる傾向があります。
- ゴキブリ
- アリ
- ムカデ など…
このような「飛ばない」系の虫は、どうしても低い階に出現しやすいですよね。
虫が苦手な方は、少しでもリスクを減らすために2階以上の物件を選んだほうがいいでしょう。
ただ、2階以上の物件でも、周囲の環境によっては「飛ぶ系」の虫(蚊や蜂、クモなど)に悩まされることはあります…
一番怖かったのは、2階の物件に住んでいた際にヤモリが侵入してきたときです…
- 自然が多い(虫にとって最高の環境…)
- 水場が多い・排水不良になっている(蚊がわきやすい…)
- 周辺に飲食店が多い(Gのエサが多い…)
物件を選ぶ際は、このような環境を避けることを意識してみてください。
- 1階に住むなら「湿気」と「虫」に注意!
- 「防犯面」「日当たり」「騒音」の問題は、物件をきちんと選べば避けられる
賃貸の1階に住むメリット
ここまで主に1階の賃貸物件のデメリットを紹介してきましたが、実際に住んでみると以下のメリットもありました。
順番に詳しく紹介します。
2階以上の物件に比べて家賃が安い
「やめとけ」との声が多いように、1階の賃貸物件は人気がないのが現実です。そのため、比較的家賃が安くなっています。
同じ建物でも、2階以上の部屋より1階のほうが数千円安いことも少なくありません。
私が選んだのも、他に紹介された物件より安かったからです笑
- 家に帰っても寝るだけだから、住環境には特にこだわらない
- 転勤が多く、短期間で退去するかもしれない
- 固定費をおさえるためにとにかく安い物件を探している
こんな方には1階の物件もアリだと思います。
立地・設備が好条件の物件が見つかりやすい
賃貸物件を探す際に、ほとんどの方は検索サイトで条件を入力して探すのではないでしょうか。
その際、「やめとけ」といわれたからと、初めから「2階以上」と指定する方が少なくありません。
そのため、好条件の掘り出し物件が眠っていることが多いです。
- 築浅
- オートロック付き
- 駅チカ
- バス・トイレ別
- 家賃割安
このような条件の物件なら、多少湿気と虫の問題があっても住みたいという方も多いのではないでしょうか。
新しい物件かつ都心なら、湿気や虫の問題もないことが多いかと。
下の階を気にせず生活できる
最上階の物件なら上の階の騒音に悩まされる心配はないですが、反対に自分が苦情をいわれる側になる可能性があります。
遅い時間に帰宅した際の物音や、部屋の模様替えをする際に気をつかうのがストレスになる方もいるでしょう。
また、上の階は水もれのリスクも大きいです。
私も4階の物件に住んでいたときに排水管が経年劣化により破裂し、下の階に被害が出たことがあります…
基本的には賃貸の火災保険で補償されますが、被害を受けた部屋の方と顔を合わせるとめちゃくちゃ気まずくなります…
下の階に気をつかいたくない方は、1階の物件も検討してみてください。
引越しや大きな荷物を運ぶ際に便利
1階の賃貸物件は階段をのぼる必要がないため、引越しや家具・家電などの大きな荷物を運ぶ際に便利な点がメリットです。
引越しを依頼する際に「階数ごとに+数千円」のように加算料金を設定している会社も多く、1階ならコストをおさえられるでしょう。
「エレベーターなし物件」でも関係ないため、物件を探す際の選択肢も広がります。
エレベーターでほかの住人と乗り合わせることもないため、できるだけ人との接触を避けたい方にもおすすめです。
地震・火災時にすぐ避難できる
1階の賃貸物件は、ほかの階の物件に比べて出口までの距離が近い点が特徴です。
地震・火災などの災害時にすぐに避難できるため、防災面を重視する方におすすめです。
特に、火や煙は上に広がっていく性質があり、上の階のほうが被害を受けやすくなっています。
また、地震時にエレベーターが止まると、高層階の方は階段で買い出しに行かなければいけないことも…
私は心配性なので、あまり高い階の物件は選ばないようにしています。
賃貸1階のやめたほうがいい物件を避けるコツ
ここまで紹介したように1階の賃貸物件にはメリットが多く、やめたほうがいい物件さえ避ければ快適に暮らせます。
物件選びに失敗しないためには、以下3つのポイントをおさえておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
条件の優先順位を明確にしておく
賃貸の物件選びに失敗する原因の多くは、「流されて物件を決めてしまうこと」です。
- 物件の立地
- 物件の築年数・構造
- 部屋の広さ
- 水まわり設備
- 家賃
これらすべての条件が希望に合う物件を探すのは難しく、途中で物件探しに疲れてしまう方も少なくありません。
すると、内見時に「ビビッと来た!」などの感覚に頼ったり、不動産会社のすすめるままに決めたりして、後悔しやすくなります。
「安さ優先!多少駅から歩いても問題ない」「内装は多少古くてもDIYできる!それより広さ優先!」などのように、優先順位を整理してから物件を探しましょう。
譲れないポイントがはっきりすると、不動産会社が不利な条件を隠そうとするときに気づきやすくなります笑
不動産会社に行く前に自分で現地を見てみる
賃貸物件を内見する際は、不動産会社と一緒に物件を見に行くことが一般的です。
しかし、外観や周辺状況だけなら不動産会社がいなくても確認できます。
- 時間を気にせず歩いて周辺環境を見て回れる(不動産会社は車で案内するケースが多い)
- 不動産会社の営業トークに流されず、冷静に観察できる
- 実際に不動産会社と内見した際に即決しやすくなる
特に、決断力に自信がない方やじっくり物件を選びたい方におすすめです。1階の物件であれば、外からの見え方も確認できますね。
私は不動産会社との約束を午後からにして、午前中に物件をチェックしていました。
余裕を持ったスケジュールで物件探しを始める
1階の賃貸物件は比較的探しやすいとはいえ、やはり条件のよい物件から先に埋まってしまいます。
引越しすることを決めたら、できる限り早く物件探しを始めましょう。
契約が早すぎて、家賃が1〜2ヵ月分余分にかかってしまう場合は?
私なら、必要な費用と考えて物件をおさえてしまいます。
そのあと数年間の生活を左右すると考えれば、数万円は決して高くないでしょう。割安の物件に出会えれば、数ヵ月で元が取れることもあります。
賃貸の1階に住むならやっておきたい対策
最後に、1階の賃貸物件に住む方におすすめしたい対策を紹介します。
実際に試してよかったものをピックアップしたので、ぜひ参考にしてください。
除湿・防虫対策
カビや虫の問題は、一度発生すると住み続ける間ずっと悩まされます…
入居したその日から、最低限以下2つはぜひやっておいてください。
1.防カビ剤
水を入れて放置するだけで煙が充満し、浴室のカビを予防してくれます。
そのほか、クローゼットや靴箱などの湿気がこもりやすい場所に除湿剤も設置しておきましょう。
もちろん、こまめな換気やエアコンの除湿運転もしてくださいね。
2.防虫キャップ
虫が室内に侵入してくる経路のひとつが、エアコンのホースです。入居したその日にキャップをつけて防いでおきましょう。
ゴキブリホイホイなどもありますが、あとで片付けることを考えると…侵入させないことが一番です。
防犯対策
1階の賃貸物件に住む場合は、「施錠の強化」と「生活パターンを隠すこと」が大切です。
1.施錠の強化
おすすめは、「スマートロック」の導入です。私は「SwitchBot」を使用しています。
- カギのかけ忘れを防げる
- カギの開閉記録(「こじあけ」も感知)が残り、スマホから確認できる
- 物理的なカギが不要になり、紛失する心配がなくなる
実際に設置する際の様子や使い方は、また別記事で紹介しますね。
2.生活パターンを隠す
空き巣犯などに狙われないためには、「住んでいるのはどんな人か」「在宅・不在の時間帯はいつか」を隠すことが大切です。
- 遮光式カーテンで室内の明かりを隠す
- カーテンは男女の性別がわかりにくい色にする
- 乾燥機を使い、洗濯物を外に干さない など
おすすめは、スマートライトを使うことです。
外出先からスマホでON・OFFを操作できるので、不在の時間帯をわかりにくくできます。
旅行などで長く家を空けるときなんかに設定しておくといいかと。
なお、ベランダの洗濯物を完全にカバーで隠したり、女性が男物の洗濯物をわざと干したりする対策はあまりおすすめできません…
明らかに「警戒している」ことが伝わり、かえって女性の一人暮らしとバレやすいためです。
完全に安全な暮らし方はありませんが、できるだけ「どんな人が住んでいるかわからない」状態を目指してみてください。
退去時の対策
これは1階の賃貸物件に限りませんが、「入居時から退去するときのことを考えて暮らす」ことがポイントです。
気持ちよくスムーズに退去するために、また退去時の自分を守るために、以下2点を徹底しましょう。
- 室内・物品の写真を撮影する
- 不具合があれば管理会社へ報告する
入居前からのキズなどがあれば、証拠を残しておくことで退去時に補修費を請求されずに済みます。
過去に、まったく使っていなかった窓のハンドルが壊れていて、退去時に数万円請求された苦い思い出があります…気をつけてください。
まとめ
賃貸の1階は、湿気や虫が発生しやすいことから「やめとけ」といわれることが多いです。
しかし、よくいわれる防犯面や日当たり、騒音などの問題は、物件の選び方次第で避けられます。
湿気や虫についても、入居時から対策する方法があるので、1階の物件が気になっている方はぜひ本記事を参考にしてください。
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