「家賃・税金…、諸々込みで月10万円生活って可能なの?」
一度はこのように考えたことがある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、実際に家賃・税金込み月10万円で暮らしていたときの私の生活費の内訳を紹介してみます。
この金額におさめてみると、結構極端な「ミニマリスト」生活になり、いくつか厳しめの条件もクリアする必要がありました。
実際にやってみたい方がいるかはわかりませんが、記事の後半に月10万円まで生活費をおさえるロードマップ(手順)も書いているので、よかったら見ていってください。
「賃貸に住む人」
- 住宅・不動産ライター
- 元ハウスメーカー社員
- 二級建築士・FP2級資格保有
転勤・転職などで合計8回の単身引越しを経験したことをきっかけに「身軽に小さく暮らす」魅力を知り、ミニマリストへ。
当ブログでは、建築業界での勤務経験や私生活での引越し経験をもとに、賃貸暮らしについてあれこれ語っています。
ミニマリスト生活「月10万円」の内訳
生活費の考え方や家計簿のつけ方は人によっていろいろだと思いますが、私は大きく以下2つに分けて管理しています。
毎月支払うお金(主な生活費):67,000円
内訳 | 金額 |
---|---|
家賃 | 約30,000円 |
水道光熱費 | 約4,000円 |
通信費 | 約3,000円 |
変動費 | 約30,000円 |
合計 | 約67,000円 |
毎月、銀行口座から引き出して使ったり引き落とされたりするお金です。一般的ないわゆる「生活費」をイメージしてもらえればと思います。
何らかの理由で収入が途絶えても、最低限「67,000円」だけ銀行口座に残っていればとりあえず1ヵ月生活できる、というわけです。
上記の「変動費」とは、毎月の暮らし方によって変わる費用をまとめたものです。
- 食費(食料品・外食・カフェ代など)
- 日用品費(洗剤・トイレットペーパーなど)
- 美容費(化粧品・ヘアサロン代・洋服代など)
- その他いろいろ
家賃・水道光熱費・通信費は「固定費」で、毎月ほぼ変わりません。つまり、実質的に管理するのはこの「変動費3万円」の使い方です。
どうやって3万円以内におさめているかというと、
- 基本1日1〜2食、ほぼ自炊で食費は1〜2万円
- 日用品のストックや化粧品、洋服を買うのは数ヵ月に1回ペース
- 娯楽・趣味はほぼ無料で楽しめるものばかり
といった感じ。「ザ・ミニマリスト」の生活ですね。
毎月使うお金はほぼ食費で、あまったお金を繰り越して美容院代や洋服代、たまに娯楽に使う、といったイメージです。
年単位で支払うお金(サブスク代や税金など):約28,000円
内訳 | 1ヵ月あたり の金額 |
---|---|
賃貸の更新料 (2年に1度) | 約1,500円 |
火災保険料 (2年に1度) | 約700円 |
サブスク代 (1年に1度) | 約1,500円 |
国民年金 | 約17,000円 |
国民健康保険料 | 約3,000円 |
家電買い換えなど の積立金 | 4,000円 |
合計 | 約28,000円 |
こちらは、1年〜数年に1回、まとめて支払う費用を毎月あたりに換算したものです。
本来はここに「所得税」と「住民税」も入りますが、このときは0円。
前職の会社員を退職してフリーランスになった最初の年で、恥ずかしながらかなりの低収入だったので非課税枠内におさまったわけです。
収入と連動して金額が変わるのは「国民健康保険料」「所得税」「住民税」の3つ。都道府県によって多少差はありますが、目安として年収100万円以内であれば似たような金額になると思います。
以上、毎月支払うお金67,000円と合計して月95,000円。10万円以内におさまりました。
今は多少収入が増えましたが、基本はこの内訳どおりの生活を続けています。
月10万円で暮らすためのロードマップ
この記事を読んでくださっているのは、何かしらの理由で「生活が苦しい」「収入が月10万円以下になるかもしれず生活できるか不安」って方じゃないかなと思います。なにせ私がそうだったので。
前章で書いたように、「国民健康保険料」「所得税」「住民税」は収入に連動し、稼ぎが少なければほぼ0円。稼げた場合はその分で支払えるので、あまり心配しなくても大丈夫です。
月10万円以内で暮らせるようにするには、それ以外の生活費をおさえることが重要です。
ということで、ここからは生活費をおさえる具体的なロードマップを提案してみます。
取り組むのが簡単、かつ効果が大きい順に書いたので、「できそう」「やってみたい」と思ったところを取り入れてみていただければと思います。
STEP1.スマホの回線を格安SIMに変える
生活費削減の効果:月2,000円〜1万円
スマホ代に月5,000円以上支払っている方は、まず「格安SIM」に乗り換えてみてください。
格安SIMとは、簡単にいえば「大手通信会社(ドコモ、au、ソフトバンクなど)で契約するよりも安くスマホを使えるサービス」です。
私は某社から格安SIMに変えて、通信費が月6,000円ほど安くなりました。
格安SIMのなかでも特におすすめなのは「楽天モバイル」。テザリングでPCやタブレットも容量を気にせず実質使い放題になり、Wi-Fi代が不要になる点が他社にはない魅力です。
- ネットサーフィンや簡単な画像編集を毎日する
- ZoomなどのWeb会議アプリも使う
- YouTubeをBGM代わりに流しっぱなし
実際、こんな使い方をしていますが、正直困ったことはありません。
ゴリゴリに家で動画編集をする方やプログラマーなどでない限り、ネット環境は格安SIMで十分かと思います。
STEP2.電力・ガスの会社を見直す
生活費削減の効果:月500円〜3,000円
電気代・ガス代を減らすには、会社そのものを乗り換えるのがおすすめです。電気やガスの使用量が同じでも月数百円〜数千円安くなる場合があるので、見直して損はありません。
私も過去数回乗り換えましたが、新会社が旧会社の解約手続きまで代行してくれ、サクッと終わりました。
一つひとつ会社の料金を比べるのは大変なので、見直す際は「エネチェンジ」という一括比較サイトを使うのがおすすめです。
用意するものは「毎月の電気・ガスの請求書(検針票)」だけ。ガイドに従って情報を入力していけば、最もお得な電気・ガス会社がわかります。
なお、電気をこまめに消すなどの「意識」を使って節約する方法はおすすめできません。続かないし、何よりストレスがたまって浪費行動に走りやすいので。
生活費をおさえるのは長期戦。「1回だけ見直せば無意識でもずっと効果が続くもの」を取り入れるのがポイントです。
参考:
資源エネルギー庁|電力の小売り全面自由化
日本ガス協会|ガス小売り全面自由化の経緯などについて
STEP3.不要なモノ・サービスを手放す
固定費である通信費・水道光熱費を削減したら、次はモノやサービスにかかるお金を減らします。家のなかのモノを断捨離したり、クレジットカードの支払い明細を見ながら不要なサービスを手放してみてください。
特に、月10万円生活を目指すのであれば、節約効果が大きい以下3つを手放すことは必須になります。
- 民間の生命保険や医療保険
- 車
- サブスク・会員制サービス
ここは人によっては大変なプロセスですが、徹底すれば一気に生活がラクになるかと。
民間の生命保険や医療保険
生活費削減の効果:月2,000円〜2万円
保険に入っている方は、保障内容や月々の支払い金額を確認して不要な分を解約しましょう。目安として保険料が月1万円以上なら「払いすぎ」と考えていいです。
人によって事情はさまざまだと思いますが、基本は掛け捨て型で保険料の安いネット保険に絞ればいいかと。
なお、私は独身で子どももいないので、民間の保険は何も加入していません。
日本には「高額療養費制度」があり、一定の金額以上の医療費がかかれば国が負担してくれます※。養う家族がいなければ国民健康保険で十分かと。
車
生活費削減の効果:月3万円〜4万円
車を持っていると、月10万円生活は現実的にかなり厳しいです。使用頻度が少ないのであれば、マイカーを手放して「カーシェアサービス」を利用することを検討してみてください。
自動車税や駐車場代が不要になるうえ、メンテナンスが行き届いた車に使いたいときだけ乗れる、という神サービスです。
サブスク・会員制サービス
生活費削減の効果:月1,000円〜1万円
サブスクや会員制サービスの一つひとつは小さな金額ですが、積み重なると大きな出費になります。一度加入しているサービスをすべてリストアップし、不要なものを解約してしまいましょう。
おすすめは、加入しているサービスの料金を1回あたりの使用料に換算してみることです。スポーツジムなどは、計算してみたら1回3,000円以上なんてことも。
「この体験・サービスにそれだけの価値があるのか?」「残業代がこのために消えていいのか?」と問いかけてみると、解約する気になるかもです。
実際、今私が契約しているサブスク・会員制サービスは以下3つです。
- Amazonプライム会員
- マネーフォワードクラウド(会計ソフト)
- ブログのレンタルサーバー代
下の2つは事業経費(お金を生み出すための費用)ですね。今のところ、Amazonプライムだけあれば楽しく快適に暮らせています。
ちなみに、テレビは数年前に手放しました。ダラダラ時間を浪費しなくなり、年間約1万円のNHK代を節約できるのでぜひ。
STEP4.家賃の安い物件に引っ越す
生活費削減の効果:月1万円〜
STEP1〜3を済ませるだけでも生活費はかなりおさえられ、心身ともに身軽になるはずです。家賃抜きなら月10万円以内になる方も多いのではないでしょうか。
さらに生活費を下げるとすれば、残る選択肢は「家」を大きく変えること。家賃込みで生活費を月10万円以内におさめる場合、おおよそ4万円台までの物件を見つけたいところです。
地域によりますが、家賃4万円以内のスペックはだいたいこんな感じ↓
- 駅からやや遠い
- 間取りはワンルームまたは1K
- 広さは7畳以下
- 収納少なめ
- 水まわり設備のスペックが低め(1口コンロ、ユニットバス、洗濯機置き場は屋外 など)
人によっては「ちょっと耐えられない…」と感じるレベルなので、無理にとは言いません。引越し代もかかりますしね。どうしても生活費を安くしたい!という方は検討してみてください。
※安く引越したい方は以下の記事を参考にしてみてください↓
それから、条件さえ合えば、
- 家賃補助のある会社に転職する
- 同棲・シェアハウスで家賃負担分を減らす
なんて方法で家賃を安くする方法もアリです。
STEP5.小さく暮らす
ここまでのSTEPをすべて終えれば、生活費を月10万円近くまでおさえるのは難しくないはずです。
「一度取り入れれば意思の力に頼らず節約効果がずっと続くもの」を厳選して紹介したので、リバウンドする心配も少ないと思います。
ただ、どうしても「変動費」だけは意思の力に影響されてしまうので、浪費に走ると簡単に月10万円を大きく超えてしまうでしょう。
つまり、先に紹介したような「ザ・ミニマリスト」の生活を習慣づけ、変動費をおさえることが不可欠になります。
私は好きでやっていますが、正直「豊かでめちゃくちゃしあわせ!」「みんなにおすすめしたい!」と手放しに言えるかと聞かれると…
生活費が月10万円以下になると見える世界
それでも、個人的に月10万円以内で暮らせることにはかなりメリットがあると思っています。特に大きいのは以下3点です。
働き方の選択肢が増える
生活費が月20万円だとしたら、いわゆる「きちんとした仕事」「安定した仕事」が必要になってしまいます。
「フルタイム+残業」だったり、いくつも仕事をかけ持ちしたりと、体や心に負担をかけながらがんばっている方も多いでしょう。
一方、「月10万円」稼ぐ方法としては
- 週3日ほどアルバイトなどで稼ぐ
- 副業で選ばれるような在宅ワークや事業で稼ぐ
- 株式の配当金などの不労所得でまかなう など
なんて選択肢があるわけで。「きっと何とかなる」と思えるので、心がめちゃくちゃラクになります。
私は会社勤めに限界を感じ、必要に迫られて生活費を下げました。今はWebライターの仕事でなんとか生活できています。
将来のお金の不安が減る
現状、国民基礎年金は、満額受け取れる場合で月5万円〜6万円です。厚生年金がプラスされるとしても、月20万円生活費が必要なら1,000万円〜2,000万円不足するというのは有名な話。
一方、月10万円で生活できれば、必要なお金は約半分になります。
極端な話、先ほど紹介した内訳から「老後に支払い不要なお金(年金など)」を除くと、ほぼ国民基礎年金だけでまかなえます。
結果として「年をとって働き口がなくなったらどうしよう…」「何千万円なんてとても貯められる気がしない…」といった悩みや不安から解放されました。
参考:厚生労働省|令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況p.21
生活の満足度が上がる
「月10万円」というと、当然、めちゃくちゃ自由にお金を使えるわけではありません。ですが、10万円でできることは意外に多く、個人的にはむしろ生活の満足度は上がりました。
- お金について悩んだり不安になったりする時間が減る →精神的に安定して過ごせる
- お金が貯まりやすくなる →本当にほしいモノや体験に思い切りお金を使える
- 転職のハードルが下がる →在宅仕事に変わり、時間を自由に使える
たまに旅行に行ったりごちそうを食べたりすると10万円をオーバーしますが、ベースが安定しているので資産が減ることはありません。
「安心」「安定」を求める方には月10万円生活が本当におすすめです。
まとめ
今回は、家賃・税金もろもろ含めて月10万円のリアルな生活費の内訳を紹介しました。
現実的に月10万円以内におさめるには、かなり極端なミニマリスト生活を送る必要があります。
万人におすすめできるものではありませんが、それでも「いざとなれば月10万円で暮らせる」という事実は心をかなりラクにしてくれるかと。
本記事が、少し前の私のように不安や悩みを抱えた方にとって少しでも役に立てば幸いです。
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コメント
コメント一覧 (2件)
国民健康保険が安すぎる気がしたのですが、どうしたら年収100万円でここまで下げられるのか教えてほしいです。よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
国民健康保険料が安いのは、低所得世帯に対する「減免措置」が適用されたからです。
年収100万円くらいまでであれば、保険料の負担額が7割軽減され、月額2,000円〜3,000円ほどにおさまります。
減免のための特別な手続きなどはなく、確定申告だけしておけば都道府県のほうで所得に応じて保険料を算出してくれます。
以下、減免措置の内容を細々と書いてみましたが、
「国民健康保険料計算機」というサイトで具体的にシミュレーションしてみるのがわかりやすいかと。
近いうちに改めて記事にもまとめてみますね。
質問の意図と違ったりわかりにくければすみません…
またお気軽にコメントください。
—-(減免措置の詳細)—–
私のような個人事業主の場合、保険料の基準となる「所得」は、
「所得(儲けた金額)」=「年収(稼いだお金・報酬)」ー「経費(稼ぐために使ったお金・元手)」ー青色申告特別控除65万円
で求められます。仮に年収100万円、経費0円だとすると、
所得=100万円ー0円ー65万円=35万円
です。
一方、国民健康保険料は、以下①+②+③で求められます。
①所得割:所得に応じて徴収する分。所得43万円までなら0円。※
②平等割:全世帯から一定額を徴収する分。約4万円〜7万円。
③均等割:世帯の一人当たりから徴収する分。一人暮らしなら約4万円〜7万円。
※都道府県によって異なる場合あり
所得35万円であれば、まず①は0円です。
また、②・③には7割の減免措置が適用されるので、
約8万円〜14万円×(1-0.7)=約24,000円〜42,000円(年額)
となり、月額にして2,000円〜3,000円ほどにおさまるというわけです。
参考:
東京都保険医療局|保険料額について
東京都中央区|国民健康保険料の軽減・減免