一番最近引っ越したときの話なんですが、タイトルどおり賃貸退去時に費用がかかりませんでした。
今回はそのときのリアルな請求書とか、気をつけたこととかを振り返ってみたいと思います。
- 賃貸退去費用の一般的な相場
- 賃貸退去費用に関する法律・ガイドライン
- 高額退去費用を請求されたときの相談先
などもまとめてみたので、これから退去予定の方、退去費用が気になっている方はよかったら見ていってください。

「賃貸に住む人」
・30代一人暮らし
・不動産ライター
・元ハウスメーカー社員
・二級建築士・FP2級
…です。
就職・転勤などでこれまで5つの賃貸物件を住み替え。現在は会社を辞めて独立し、不動産ライターとして生計を立てつつワンルーム賃貸で小さく暮らす日々。
「マイホームより一生賃貸」派。INFJ。
賃貸退去時のリアルな費用請求書(0円)


こちらが、賃貸退去時に届いた費用請求書(精算明細書)の実物です。見ていただくと、「支払い」欄が0円になっています。
むしろ、前払いしていた家賃と諸費用(共益費とか)が日割りで戻ってきて、管理会社から入金される形に。なんか得した気分です。
どんな条件で住んで退去したかというと、
- 間取り:1K7畳(フローリング)
- 家賃:約61,000円
- 敷金:0円
- 礼金:1ヵ月分
- クリーニング費用:4万円(入居時払込済み)
- 入居期間:約2年(更新費用なし)
- 退去時立ち会い:なし
といった感じ。
一般的に、賃貸退去時には清掃費用(クリーニング費用)がかかるものですが、この物件は入居時に決まった額を前払いする契約になっていました。
あ、実質的には払ってますね、ごめんなさい…。
とはいえ実際の清掃費用が徴収分をオーバーしたら退去時にも請求されたはずなので、著しく汚したり破損したりした部分がなかったと判断されたようです。



実際、入居者募集状況を見た限りすぐ次の入居者が決まったみたいで。大がかりな修繕・リフォームはせずに済んだと思われます。
ちなみに、こちらが退去する直前の写真です↓


賃貸退去時に高額費用を請求されないために気をつけたこと


賃貸で一番怖いのは退去時の高額費用請求。なので、かなり気をつけて暮らしていました。
具体的にまとめると、次の7つになります。
- 賃貸借契約書の退去時費用に関する項目をチェックしておいた
- 入居時・退去時どちらの状況もすみずみまで写真で保存しておいた
- 入居直後に水廻り備品を100均用品で取り替えておいた
- 退去時までとにかく床を傷つけないよう暮らした
- 退去時まで部屋の除湿・換気対策を徹底した
- 退去時まで賃貸の生活ルールに絶対服従した
- 退去時に徹底的に大掃除した
順番に見ていきましょう。
賃貸借契約書の退去時費用に関する項目をチェックしておいた


まず、賃貸の契約時から。
「賃貸借契約書」にはクリーニング費用や物件を傷つけたときの賠償責任についての項目があるので、内容を細かくチェックしておきました。



「敷金0円」物件の場合はどこかのタイミングで必ず清掃費用が請求されるはずなので、入念に。
今回の物件は入居時に徴収されるってことだったので、「気をつけて暮らせば退去時にめちゃめちゃな金額を請求される心配が少ないかな」と思った記憶があります。
入居時・退去時どちらの状況もすみずみまで写真で保存しておいた


で、賃貸の管理会社が万が一悪質だったときのことを考えて、入居時にすみずみまで写真を撮っておきました。
ちょっとしたキズっぽいものとか、若干汚れたところなんかは特にたくさん。



「私が暮らしている間にできたキズ・汚れじゃありませんよ」ってことを証明するためです。
それから、退去時にももう一度写真を撮っておきました。
私が退去したあとに清掃業者や管理会社、場合によっては次の内見者などが足を踏み入れるわけで。
そのときにつけたキズ・汚れの費用をこちらに請求されたらたまったものじゃないと(人間不信)。



言いがかりをつけられても、「この写真を撮って以降、足を踏み入れてないんですけど」っていえるわけです。
入居直後に水廻り備品を100均用品で取り替えておいた


入居してすぐやったことは、水廻りの退去時対策。賃貸の水廻り設備は汚れやすく、修繕費用も高額になりやすいので。
具体的には、キッチン、洗面所、浴室の排水口フィルターを備えつけのものから100均で売っているものに交換。
(管理会社側も消耗品として交換すると思いますが、デフォルトの備品は穴が大きく排水づまりを起こしやすいタイプのものが多いので…)
それから、料理も結構するので換気扇フィルターも設置しておきました。
そして、年に1〜2度パイプ洗浄剤で配管づまりも予防。
退去時までとにかく床を傷つけないよう暮らした


賃貸退去時の費用で一番心配なのが床(フローリング)。
引っ越した日に、冷蔵庫などの重い家電の下には凹み防止シートを敷いておきました。
なお、(自称)ミニマリストなので大きな机とかベッドはありません。
なので、家具を引きずって傷つける可能性はないのですが、念のために今の物件からはDIYでクッションフロアを敷くようにしています。
退去時まで部屋の除湿・換気対策を徹底した


それから、賃貸退去時にカビが生えているとかなり心象が悪くなります。
なので、浴室・洗面所の換気はもちろん、居室部分もこまめに換気し、必要に応じてエアコンの除湿運転もしていました。



見落としやすいんですが、冬場に窓の結露を放置するのも結構危険なんですよね。
「最後に掃除するからいいや」とそのままにしていると、いざ退去するときになって落ちなくて…清掃費用が高額になる可能性も。
湿気がこもりやすい賃貸1階に住んでから、カビに対して神経質なくらい気をつけるようになったみたいです↓
退去時まで賃貸の生活ルールに絶対服従した
また、一般的に賃貸では入居時に簡単な生活ルールの説明があります。
なかには賃貸借契約書に「特約」として記載されているケースも。
- ドア、窓、ベランダなどにポスター類を貼らないこと
- 洗濯物などを手すりを超えて干さないこと
- ペットの飼育禁止…など



こういったルールを守らずに万が一部屋を傷つけたり汚したりすれば、退去時に高額費用を請求されても文句は言えません…
それから、ゴミ出しルールや騒音などのルールを破ると、物理的に部屋を傷つける可能性は低いものの、近隣や大家さんの心象を悪くします。
度が過ぎれば管理会社の耳にも入るでしょうから、退去時のチェックの目が厳しくなるかと。
なので、常識的なマナーを守る。特に、入居時にいわれたルールは必ず守る。の意識で暮らしてました。
退去時に徹底的に大掃除した
そして、肝心の退去時には、部屋のすみずみまで大掃除をしました。



自分なりにですが、賃貸の専門清掃業者になったつもりで徹底的に。
というのも、退去時の状態をチェックするのは「人」。パッと見の印象でその後のチェックの厳しさが多少変わるのではと。
明らかに掃除せずに退去した様子だと、「いい加減に住んでたみたいだから、あちこち傷つけてそうだな…費用も多めに請求しとこう」と思われそうですよね。
賃貸退去時の費用の相場


と、ここまで紹介してきたものの、私の事例だけだとあまり参考にならないと思うので、一般的な賃貸の退去時費用の相場を調べてみました。
参考にしたのは
- 住宅の清掃作業を請け負う会社
(ハウスクリーニング・家事代行会社) - 内装・水廻り設備の補修・更新を請け負う会社
(リフォーム会社など)
が公開している資料です。見ていきましょー。
1.基本の清掃費用(クリーニング費用)の相場
まず、基本的な清掃費用(クリーニング費用)です。
賃貸の場合、どれだけキレイな状態だったとしても誰かが住んでいたわけですから、次の入居者にあけ渡す前に以下のような清掃が入ります。
- 床の清掃・ワックスがけ
- 水廻りの清掃
- ベランダ・窓周りの清掃
- 消耗備品の交換…など
なので、特に問題ない状態で退去しても最低限これだけは支払わなければいけません。
相場は間取りによって変わり、ざっと「1,000円/㎡~1,500円/㎡ほど」かと。
例えば、次のような感じです。
賃貸の広さ | 基本清掃費用の相場 |
---|---|
1R(約20㎡) | 2〜3万円 |
1DK(約30㎡) | 3〜4.5万円 |
3DK(約50㎡) | 5〜7.5万円 |
敷金が家賃1ヵ月分の物件などは、そのなかにこの基本清掃費の分が含まれていると思われます。また、最近は私のように入居時にあらかじめ徴収されるケースも多いみたいです。
参考:
お掃除革(ハウスクリーニング会社)
さくら咲く本舗(ハウスクリーニング会社)
ベアーズ(ハウスクリーニング会社)
ハウスリーブ株式会社(賃貸保証会社)
リショップナビ(リフォーム会社比較サイト)
2.追加の清掃・修繕費用の相場
「通常のハウスクリーニングで除去できない汚損」、つまり、普通に暮らしていて発生しないようなキズ・汚れをつけた場合は、原則として退去時に追加で清掃・修繕費用を負担しなければいけません。
調べた限り、費用はだいたいこのぐらいが相場かと。
内容 | 費用の相場 |
---|---|
壁紙(クロス) | 1,000~1,500円/㎡ |
床(クッションフロア) | 3,000円/㎡ |
床(フローリング) | 15,000円/㎡ |
網戸の交換 | 3,000〜5,000円 |
室内建具の修理・交換 | 3〜10万円 |
窓の交換 | 10〜50万円 |
排水つまり処理 | 1〜4万円 |
水栓(蛇口)交換 | 1〜4万円 |
シーリング打ち直し | 700〜1,500円/m |
洗面ボウルの補修・交換 | 4〜10万円 |
洗面台の交換 | 10〜30万円 |
トイレ便座交換 | 5〜10万円 |
トイレ便器交換 | 10〜30万円 |
浴室床・壁・タイル補修 | 4〜30万円 |
浴槽ひび割れ補修・塗装 | 10〜15万円 |
浴槽交換 | 10〜60万円 |
ただし、キズ・汚れの程度や範囲によって費用も大きく変わるので、なかなか妥当な金額かどうか判断するのは難しいところ…
それだけに、多分、一番悩んでいる方が多くてトラブルになりやすいのもこの費用だと思います。
あまりに「おかしいな」と思った場合は、自分で別の業者に見積もり依頼してみたほうがいいかもしれません。



見積もり依頼時に必要になるかもしれないので、やっぱり退去時(管理会社にカギを返却する前)に部屋のすみずみまで写真を撮っておいたほうがよいかと。
参考:
おそうじ合衆国(ハウスクリーニング比較サイト)
お掃除革(ハウスクリーニング会社)
さくら咲く本舗(ハウスクリーニング会社)
ベアーズ(ハウスクリーニング会社)
ハウスリーブ株式会社(賃貸保証会社)
リショップナビ(リフォーム会社比較サイト)
3.その他の費用(違約金)の相場
それから、あまりに入居期間が短かった場合、退去時の費用に違約金が含まれる場合があります。



賃貸借契約書に「短期解約違約金」と書かれている、あれです。
契約の直前・直後のキャンセルとか、1ヵ月以内にやっぱり退去します、とかのケースが多いのですが、なかには「2年以内の解約も対象」といったケースも。
この場合の違約金の相場は「家賃1〜2ヵ月分」くらいです。
多分、短期で退去したくなるケースって、騒音などの近隣トラブルや住み心地が著しく悪いなどの「物件側の問題」が多いかと…
ですが、「悔しい」「納得いかない」と思っても、相手に認めさせようとする労力や時間を考えると、さっさと払って縁を切っちゃったほうがいいかもしれません…(あくまで個人の意見ですが)
以上、まとめると、何も問題なければ退去時に請求されるのは基本の清掃費用(クリーニング費用)だけ(高くても家賃1ヵ月程度まで)。
20万円、50万円、100万円とかの請求書が届いたら、何らかの要因で追加費用や違約金が発生したと推察されます。
賃貸退去時の費用は入居年数で変わる?負担金額の考え方
退去時の費用の相場を把握したところで、注意したいのが「追加清掃・修理にかかった費用=入居者が支払わなければいけない費用」とは限らないという点です。
というのも、賃貸の建材や設備は経年劣化により価値が下がるものであり、入居者の私たちはその損耗分を家賃としてすでに払ってきています。
それを新品に取り替えるからと全額請求されると、二重で支払うことになってしまいますよね。



例えば、10年家賃を払ってきたのに、10年ものの年季が入ったクロスを「全額自己負担で新品にして返せ」といわれても…って話です。
なので、仮に過失・故意で損傷してしまった場合、
「一定の年数で価値が1円まで減ると仮定し、退去時点で残った価値の分だけ弁償する」
というのが通常の考え方です。
この価値が1円になるまでの年数が「耐用年数」であり、賃貸でよく用いられる建材・設備でいうと次のとおり定められています。
内容 | 耐用年数 |
---|---|
壁紙(クロス) クッションフロア | 6年 |
流し台 | 5年 |
洗面台 | 15年 |
トイレ便座 | 8年 |
電気設備 (照明など) | 15年 |
給排水衛生・ガス設備 (洗面・トイレなど) | 15年 |
例えば、2年住んで退去時にクッションフロアの張り替えが必要になったとしましょう。
負担するのは、残り4年分使えるはずだった価値に対する弁償。仮に費用が6万円だとすると、約4万円が請求されるはずです。
請求書の内容がサラッと全額負担になっていることはあるあるなので、しっかり確認してみてください。



極端な話、この年数だけ住んでいればボロボロでも入居者の費用負担はゼロに近くなる…と、言いたいところなのですが…
現実的な話として、クロスやクッションフロアはともかく、流し台・洗面台が5年・10年で新品に取り替えられる例って稀ですよね。
前の住人たちが大事に使ってきてまだまだ使える設備を「残存価値がないから壊しちゃった」なんて、さすがにそれはお金払うべきだよねって話になります。
国土交通省もその場合は「費用負担の責務が発生する可能性がある」としているので、やっぱり普通じゃ考えられない壊し方・汚し方をしたらその分の弁償は必要、と考えておいたほうがいいかと。
実際、つぎはぎ修理しながら使っていくフローリングは経年劣化が考慮されず、原則として修繕費用の実費負担になります。



「壊しちゃったから残存価値がなくなるまで⚪︎年住もう」という考えはかなり危険です…早めに管理会社に相談するか、火災保険を使って直すことをおすすめします。
参考:
国土交通省|「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」についてp.16〜
国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表
減価償却資産の耐用年数等に関する省令
賃貸退去時の費用に関する法律とか参考資料とか


少しでも安く済ませたい入居者 vs 利益を増やしたい管理会社…どうしても賃貸の退去時にはトラブルが絶えないもの。
もしも高額費用を請求された場合に泣き寝入りしないために、最低限知っておきたい法律や読んでおきたい資料などを紹介しておきます。
基本の考え方の根拠資料1:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
賃貸の退去時費用でトラブルが起こった際に、もっともよく引き合いに出されるのが国土交通省のガイドライン。
国土交通省|「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
結構ボリュームがありますが、裁判の事例なども含めてかなり具体的に説明されているので、できれば目を通しておきたいところです。



p.8「入退去時原状回復チェックリスト(例)」やp.29「修繕分担表(例)」などを見るだけでも注意すべきポイントがイメージしやすいかと。
国が「こういうケースにはこう考えるのが真っ当だよね」と示している資料なので、不当な費用を請求されたときの反論根拠に使えそうです。
ただし、これはあくまで「ガイドライン」。絶対的なものではなく、トラブルが起こった際は個別に状況を考慮して判断しなければいけません。
参考:国土交通省|「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
基本の考え方の根拠資料2:国土交通省「賃貸住宅標準契約書」
こちらも同じく国土交通省が公表しているガイドライン的位置づけの資料になります。
「トラブルにならないよう最低限こういった内容を記載した契約書にしてくださいね」と、契約書の雛形を提供しているわけです。
退去時の費用に関係しそうな項目を手元の契約書と比較してみると、入居者にとって不利な内容になっていることに気づけるかもしれません。



これはできれば契約前に見ておきたい資料です。賃貸の契約はあっという間に進んでしまうので、あらかじめ契約書の様式に慣れておくだけでも落ち着いて内容を確認できるようになると思います。
最も重要な資料:賃貸借契約書
先に契約書の雛形資料をご紹介したのは、退去時の費用に関しては「賃貸借契約書に記載されている」という事実がやはり強い力を発揮するから。
民事訴訟法第228条第4項にあるとおり、契約書に署名・捺印すると「内容をお互いに認めて約束した」ことになります。
原則として約束は守る義務が発生しますから、契約書の内容、特に物件ごとの個別の取り決めを記載した「特約」をよく読み、納得したうえで契約することが大切です。
すでに契約済みの方は、万が一不当な費用を請求された場合の対策を立てるためにも退去の連絡を入れる前に契約書を読み直しておくといいかと。



ただし、契約書の内容が何でもかんでも絶対かというと、そうではありません。
次に紹介する民法・借地借家法などの法規に反する内容や、社会通念上おかしい内容の場合は無効になります。
関連する法律:民法・消費者契約法・借地借家法…
退去時の費用は賃貸借「契約」に基づいて請求されるものですから、契約について規定している「民法」や「消費者契約法」が関係してきます。
日常生活を送るうえで守るべきルールを定めた法律。第3篇に契約に関する内容が規定されている。
契約に関するトラブルから消費者を守るための法律。「無効」「取り消し」になるケースについて規定されている。
詳しい内容を把握するのは大変ですが、とりあえず
- 消費者(入居者)を守るための法律がある
- 不当な特約は無効にできる可能性が高い
という点を知っておくことが大事かと。
例えば、退去時に高額費用を請求された場合は、以下の内容に反しているかもしれません。
消費者契約法第9条第1項第1号(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効等)
消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
また、退去費用のトラブルが立ち退き問題まで発展すると、「借地借家法」の領域に入ってきます。
不動産の賃貸借に関するルールを定めた法律。不利になりやすい賃借人(入居者)を守る内容が規定されている。
これも詳細な内容を把握するに越したことはないですが、とりあえず、
衣食「住」という言葉があるように、生活に欠かせない住まいを簡単に失ったりしないよう守ってくれる法律がある
という点はおさえておきたいですね。
賃貸退去時に払わなくていいのに請求されがちな費用
ここまでご紹介した法律上の責務や国土交通省のガイドラインの解釈を踏まえて、特に賃貸の退去時にぼったくられやすい(払わなくていいのに請求されやすい)費用をまとめてみました。
といっても、大半のケースは次の2つに集約されるかと思われます。
クリーニング費用(二重請求)
入居時にクリーニング費用払ったのに、サラッと退去時にも費用を請求されることとか、あるあるです。
数年経つと自分でも払ったかどうかあいまいになりやすいので、入居時の賃貸借契約書・領収書は捨てずに保管しておき、退去の連絡を入れる前にチェックしたほうがいいかと。
クロス・フローリングの修繕費用
先に紹介したように、経年劣化の分を考慮せず費用を請求されるケース、本当に多いみたいです。
それから、「そろそろ全面張り替えする時期だったし、ついでに請求しちゃえ」なんて思惑で、賃貸の退去時に余分な費用まで請求されることがあります。
負担すべきなのは故意・過失で損傷を与えてしまった部位に限られるので、心当たりがある方でも見積もりの「数量」の欄をチェックです。
ただし、クロスなどは部分的に貼り替えるとおかしくなり、壁の面単位で交換することが一般的。
実際よりちょっと広い分には常識的な範囲内かもしれないので、怪しいと思ってもケンカごしにならず冷静に聞いてみることをおすすめします。
賃貸退去時に払わざるを得ない費用
反対に、「これは請求されても仕方ないよね…」となる、賃貸退去時に費用負担を免れにくい内容もまとめておきます。
タバコの匂い・焦げ跡


退去時点でタバコの匂いが部屋中に染みついており、ヤニだらけであちこちに寝タバコの焦げ跡まで残っている…といったケースです。
費用がかさむのは、通常の清掃ではとても回復できず、クロス・床の張り替えはもちろん「特殊清掃」レベルの洗浄作業が必要になるからだと思われます。



匂いを取るために何十万・何百万円もする「オゾン発生器」を使うことになるなど、おおごとに…
賃貸借契約書に室内は全面禁煙と明記されている物件も増えているので、賃貸物件でタバコを吸うのはかなり慎重になったほうがいいかと。
ペットが原因の匂い・キズ


タバコと同じく、ペットの場合も匂いが広範囲に染みついていたり取れなかったりすると、追加費用を負担せざるを得ないケースがあるようです。
また、柱や建具などを噛んで破損させてしまうと退去時の費用がかさみやすくなります。
ペット可の賃貸物件はキズ・汚れがつきやすいことを見込んで敷金が高めに設定されていますが、どの程度から「一般的でない」と判断されるのか、契約時から認識をすり合わせておいたほうがいいかと。
水漏れを放置した跡


エアコンや水廻りの水漏れの大半は経年劣化が原因なので、賃貸の管理会社に連絡すれば無償で対応してもらえるケースがほとんど。
ですが、面倒だから・部屋に入られたくないからと放置して水漏れ跡が残ったり壁・床が深刻に傷んだりすれば、原則として退去時に修理費用を負担しなければいけません。
特に、
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- エアコン
- 観葉植物
- キッチン下収納
などの周辺は定期的にチェックし、異変があればすぐ管理会社に連絡することをおすすめします。
キッチンの過剰な油汚れ


普通に使っていて汚れる程度ならわかりますが、揚げ物を頻繁にして清掃せず放置したような汚れは、追加で清掃費用を請求されても仕方ないかと。
賃貸のなかでもキッチン周りは内見時にチェックされやすいポイントですし、管理会社としてもクロスの貼り替え費用がかかってしまうので…
時間が経つほど汚れは落ちにくくなるので、日頃の掃除習慣が大事です。
水廻りの重度なカビ


水廻りに一時的にカビが生えてしまうのは仕方ないかもしれませんが、これもやはり放置して重症化すると賃貸の退去時に費用を負担しなければいけない可能性が高いです。
普通の清掃作業でカビが除去できなければシーリングの打ち直しが必要になり、数万円請求されることも…
浴室を使ったあとは水気を拭き取る、必ず換気する、といったちょっとした掃除の習慣でリスクを避けたいところです。
賃貸退去時に高額請求されたら…相談先とか
最後に、賃貸の退去時に高額な費用を請求されたときの主な相談先をお伝えしておきます。
自治体の生活相談課(消費生活センター)
各自治体には契約に関するトラブルを無料で相談できる窓口があるものです。ネットで「〇〇市 消費生活センター」で検索してみてください。
自治体のいいところは、地域ならではの事情を把握して相談に乗ってくれるところです。
もしかすると賃貸の退去時費用に関するトラブルが多い不動産屋を知っているかも…
国民生活センター
全国の消費生活センターを統括しているところです。以下のホットラインにかけると全国どこからでも直接相談できます。
消費者ホットライン「188」(局番不要)
年間1万件以上も退去時費用(賃貸の原状回復トラブル)に関する相談が寄せられているみたいなので、よくあるケースなら具体的なアドバイスが期待できるのではないかと。
参考:国民生活センター|賃貸住宅の原状回復トラブル(相談の件数や傾向)
法テラス
トラブルが起こった際に法的なアドバイスがもらえる相談機関です。「国が設立した」という点で町の弁護士事務所より相談しやすいかと思います。
「よくある相談」に賃貸の退去時費用に関する項目が設けられているあたりを見ると、実績も豊富な様子。
メールやチャットなど多様な形式で相談できるのもいいですね。
不動産適正取引推進機構
宅地建物取引士資格の試験機関として知られているところです。
名前のとおり不動産取引に関するトラブルの防止・解決を図っているので、賃貸借契約の相談もできます。
どちらかというと「売買」関係のトラブルに強いイメージで相談形式も電話のみですが、無料なのでとりあえず話をしてみてもいいのではと。
住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
「住まい」に関する全般的な相談ができる機関です。弁護士と「建築士」に無料で相談できる点が強み。
こちらも主に「持ち家」に関する相談をするところですが、「よくある相談」に賃貸の退去時費用に関する内容も掲載されているので、相談可能かと思います。
参考:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理センター|相談事例を探す



一番は「弁護士」「不動産業界の人」で信頼できそうな知り合いがいればいいのですが…ダメもとで周囲に聞いてみるのもいいかもしれません。
まとめ
今回は、私の賃貸退去時のリアルな費用をご紹介するとともに、気をつけるべきポイントや関連する法律、トラブルの相談先などについて書いてみました。
最後になんなんですが、賃貸はそもそも「貸してもらって住む家」。退去時に何でもかんでも安く済ませようとすると「カスハラ」になる可能性も…
ネット上の情報で真偽はわかりませんが、最近明らかに汚しているのに退去費用を値切ろうとしたり無断で払わなかったりする人が増えているようです。
不動産会社もそう悪徳業者ばかりではないと思うので…
個人的には「うまくやり込めて退去費用を安くする」のではなく、「キレイに使って追加費用が出ないようにする」の正攻法で努力したいかな…と。
長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。
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